行政書士試験難易度 宅建主任者試験との比較
行政書士試験と並び、人気の国家資格である宅地建物取引主任者試験(以下「宅建主任者試験」といいます)。法律系の国家資格の中では、比較的難易度が低いと認識されていることもあり、受験者も多い。
宅建主任者 | 行政書士 | |
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平成23年度 試験受験者 |
231,596人 | 66,297人 |
同合格者 | 30,391人 | 5,337人 |
同合格率 | 16.10% | 8.05% |
試験科目 | ・土地の形質、地積、地目及び種別並びに 建物の形質、構造及び種別 ・土地及び建物についての権利及び権利の 変動に関する法令 ・土地及び建物についての法令上の制限 ・宅地及び建物についての税 ・宅地及び建物の需給に関する法令 ・宅地及び建物の価格の評定 ・宅地建物取引業法及び同法の関係法令 |
・憲法、民法、行政法 ・基本法学、商法 ・一般知識 |
宅建主任者試験は、不動産業に携わる人にとっては必須ともいえる試験である。不動産会社では、その規模や業務に応じて、一定人数以上の有資格者が必要となることから、資格所持者は、不動産会社では優遇されやすい。また、不動産業のみならず、銀行等の金融関係でも、宅建主任者資格は、一目置かれるものである。
さて、今でも人気のある宅建主任者試験であるが、その昔、バブル景気の頃は、この試験の人気は、尋常でない程であった。平成2年の受験者数は42万人を超え、「まず宅建!」の合言葉(?)まできかれた。その後、受験者数は減少していくが、それでも、平成23年の受験者は23万人を超えている。ちなみに、合格率は、バブルの頃から現在まで、概ね12~17%くらいで推移している。
既に宅建主任者資格を持っていて、これから行政書士試験を受けようかなと思っている人は、気を引き締めてかかった方がよいと思う。この2試験に共通する科目は民法だけだが、民法の問題を読んでみれば、行政書士試験の方が難易度が高いとわかるだろう。
更に、宅建主任者試験は4択だが、行政書士試験は5択である。また、宅建主任者試験は択一問題だけだが、行政書士試験は、択一の他に記述問題もある。また更に、行政書士試験の試験科目は広範囲にわたっており学習する事項も多いため、学習時間も多めに取った方がよいと思われる。難易度は、明らかに行政書士試験の方が高い。
宅建主任者資格も行政書士資格も持っていない人、かつ不動産業に携わっていない、これから携わる予定もない人というには、行政書士試験を受験した方が、知識面では、ためになるだろう。宅建主任者試験から得られる知識は、不動産関係オンリーだが、行政書士試験から得られる知識は、憲法や商法、行政関連法などもあって幅広いからだ。
しかし、「これから宅建主任者も行政書士も、両方の資格を取るぞ!」という人は、宅建主任者試験から始めた方がよいと思われる。